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家族信託で共有不動産の塩漬けの解消対策・予防対策
相続した不動産を巡るトラブルの1つとして、共有不動産の「塩漬け」があります。塩漬けとは共有者間で方針がまとまらず、適切な管理や賃貸、売却処分ができずに放置されている状態のことです。そこで今回は、家族信託を活用した共有不動産の塩漬け対策についてのお話です。
不動産を共有相続する際の塩漬けリスク
相続財産のうち不動産のウエイトが大きい場合、なかなか協議がまとまらず「とりあえず共有」を選択しがちです。不動産を共有相続すると、共有者一人の都合で不動産を賃貸、売却や解体などの処分はできません。共有相続した不動産を処分するためには、共有者全員の同意が必要だからです。下記のような場合は処分ができなくなります。
・共有者間の関係性が悪化した場合
・共有者全員が理解・納得しないことから不動産処分方針が一致しない場合
・共有者の一人の行方が知れず、全く連絡が取れない場合
・海外在住のため連絡が取りにくい場合
・共有者の一人が大病や認知症を発症して判断能力が低下してしまった場合
・共有者の一人に相続が発生し、当該死亡者の持つ不動産持分につき相続人間(甥姪)で意見がまとまらず承継者が決まらない場合
上記のように高齢の家族・親族間で不動産を共有すること自体が塩漬けリスクを高めてしまうことになります。
家族信託を活用した共有不動産の塩漬け対策
共有不動産の塩漬けリスクを回避するための有効な対策の一つが、家族信託です。具体的なタイミング・方法としては、次の3つがあります。
① 既に不動産が共有の状態で対策として家族信託を実行する
既に共有になっている不動産について、円満な共有関係のうちに共有者家族の中から選んだ受託者(管理者)と各共有者との間で信託契約を締結し、管理や処分する権限を一元化する方法です。持分(取り分)はそのままなので、賃貸収入や売却金はその比率で分けます。また費用もその比率で負担します。意思決定は、受託者一人が任されることになるため迅速です。
このように、経済的利益は共有と同様でありながら管理処分権限を一人に集約しておくことは、将来の不動産の塩漬けリスクを回避でき、長期における安心感につながります。
② 相続発生時に遺産分割協議がまとまらず不動産を共有になってしまう際に家族信託を実行する
「とりあえず共有」を選択せざるを得ない状況の際にその後の塩漬け状態を招かないようにこのタイミングで「家族信託による共有」をします。共有者家族の中から選んだ受託者(管理者)と各共有者との間で信託契約を締結し、管理や処分する権限を一元化する方法です。これによって迅速な管理、賃貸、売却処分と遺産分割協議で取り決めた持ち分による配当(賃料、売却金)を受け取れます。安心して「共有」ができます。
③ 相続発生前のタイミングで家族信託を実行する
共有相続を未然に防ぐ対策として、親の相続発生前から、親子間で信託契約を締結し、複数の子の中の代表者が受託者(管理者)として親の不動産管理(例えば賃貸経営)を担います。
老親亡き後も家族信託を継続し、引き続き当該受託者が単独で、複数の兄弟姉妹のために不動産の管理(賃料の管理と分配)を担います。
この場合、相続発生時に複数の兄弟姉妹が家族信託締結時に決められた配分で不動産を承継する形になりますが、将来不動産を売却したり売却代金を分配するのは受託者(管理者)単独で実行できますので、将来にわたり共有不動産の塩漬けは排除できます。
以上、今回は「家族信託」を活用した共有不動産の塩漬け対策について紹介しました。このように不動産の共有解消、共有予防には家族信託は、大変使い勝手がいい手法です。是非ご活用をご検討されてはいかがでしょうか。
家族信託の利用数の統計は全体では取れないものですが、不動産の信託登記のデータは法務局が公表しています。それによるとここ数年は毎年、前年比1.5倍の伸びとなっています。
当事務所でも家族信託のお問い合わせ、ご相談が増えています。
家族信託を効果的に活用するためには、対象とすべき財産を見極め、必要十分な体制をご案内し、将来リスクを考慮した提案が必要です。
当事務所は、渋谷駅の1つ隣の池尻大橋駅近く(池尻は世田谷区、大橋は目黒区)に事務所を構えております。親御様が地方で子供様が東京、その反対のケースも対応しております。家族信託・遺言・相続のご相談は、お気軽に若尾行政書士事務所までご相談ください!