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終了時について家族信託設定時に注意すべきポイント
家族信託は、財産を預ける「委託者」、管理する「受託者」、利益を受ける「受益者」が関わる仕組みです。契約締結時の設計がしっかりしていないと、信託の運用中や終了時にトラブルや税務上の問題が生じることがあります。今回は、信託の終了時に起こりがちなトラブルと、それを未然に防ぐためのポイントをお届けします。
信託の終了は、会社の解散に似ています 。委託者の死亡など、契約で定めた終了事由が発生すると、信託は直ちに終了するのではなく、「清算手続き」に入ります 。清算受託者は、債権の取立てや債務の弁済を行い、最終的に残った財産(残余財産)を契約で定められた帰属権利者へと引き渡します 。
①財産状況の変化による帰属先の混乱
信託設定時から財産状況が大きく変動し、トラブルになるケースです。例えば「Aにはアパート、Bには駐車場」と物件ごとに帰属権利者を指定していたところ、Bが承継するはずだった駐車場を信託期間中に売却してしまった場合、Bが受け取る財産がなくなってしまいます 。
このような事態を防ぐには、財産に変動がある場合、信託を組成した専門家に連絡し、残余財産とその帰属先を調整する必要があります。
しかし、望ましくは、帰属権利者ごとに契約書を分ける、あるいは割合で帰属権利者に配分するなどが望ましいです。
②他の相続人への説明不足
信託の内容を他の相続人に説明していなかったために、相続発生後に紛争となるケースです。特に、帰属権利者が特定の相続人のみで、他の相続人の取得分が少ない場合、「勝手にやった」という不信感が生まれ、信託外の財産の遺産分割協議が難航するリスクがあります。したがって他の相続人への説明をしておくことが望まれます。
対策として、信託設定時に家族会議を開き情報共有を行うことや、信託でカバーできない部分を補うために遺言書を併用します。
③信託終了後の手続き権限の設定
委託者の死亡により信託が終了し信託不動産を換価して帰属権利者に渡す設定の場合に、清算受託者にその権限を設定しておかないと一度帰属権利者の固有財産にしてから売却することになり余分なコストと手間がかかります。
これを防ぐため、信託契約書に「清算の一環として不動産を売却できる」旨の条項を盛り込んでおくことが有効です 。
以上、信託終了時に困ってしまう状況が発せしないように設定していくことが求められます。
家族信託の利用数の統計は全体では取れないものですが、不動産の信託登記のデータは法務局が公表しています。それによるとここ数年は毎年、前年比1.5倍の伸びとなっています。
当事務所でも家族信託のお問い合わせ、ご相談が増えています。
「家族信託」を効果的に活用するためには、対象とすべき財産を見極め、必要十分な体制をご案内し、将来リスクを考慮した提案が必要です。
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